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標準報酬制

1 標準報酬制

標準報酬制とは原則として、年1回、毎年4月から6月までの報酬の平均額を基に「標準報酬月額」を決定し、この額をその年の9月から翌年の8月までの各月の標準報酬月額とし、保険料等の算定基礎とするしくみです。また、期末手当等の額を基に「標準期末手当等の額」を決定します。

※被用者年金一元化以前の地方公務員共済組合においては、基本給と基本給に法令で定められた手当率1.25(みなし手当:諸手当に相当する額)を一律に乗じた額を合算した額に保険料率(掛金率)を乗じて保険料(掛金)を計算していました(いわゆる、手当率制)。被用者年金一元化法により、保険料については、厚生年金と同様の標準報酬制に移行されました。

2 報酬の範囲

(1) 標準報酬月額

標準報酬月額の算定の基礎となるのが報酬月額です。報酬月額に含まれる報酬の範囲は原則として、基本給及び諸手当等の全てです。また、現金以外にも通勤手当に相当するものとして支給される定期券などの現物給与も報酬に含まれます。ただし、期末手当等は報酬月額には含まれません。

(2) 標準期末手当等の額

標準期末手当等の額の算定基礎となるのが期末手当等の額です。臨時に受けるものや3ヵ月を超える期間ごとに受ける期末手当、勤勉手当、特定任期付職員業績手当、任期付研究員業績手当等が含まれます。

表1 報酬の分類(例)

◯ 固定給与

基本給(給料表の給料月額)・給料の調整額・教職調整額・給料の特別調整額(管理職手当)・初任給調整手当・扶養手当・地域手当・特地勤務手当・へき地手当・広域異動手当・住居手当・単身赴任手当・義務教育等教員特別手当・定時制通信教育手当・産業教育手当・農林漁業普及指導手当・通勤手当 など

◯ 非固定的給与

特殊勤務手当・時間外勤務手当・休日勤務手当・夜間勤務手当・宿日直手当・管理職員特別勤務手当・寒冷地手当 など

※ 出張旅費等の実費、年金、共済組合からの給付金等の労働の対償とされないものは、報酬に含まれません。

3 標準報酬月額の決定と改定

標準報酬月額の決定と改定には、次のものがあります。

種類 対象者 対象となる報酬 決定・改定の時期
資格取得時決定 新たに組合員の資格を取得した者 資格取得時の報酬 資格取得時
定時決定 7月1日現在の組合員 4月、5月、6月の報酬の平均 9月
随時改定 報酬の額が著しく変動した組合員 固定的給与に変動があった月以後の3ヵ月間の報酬の平均 固定的給与に変動があった月から4ヵ月目
育児休業等終了時改定 育児休業等を終了した組合員 育児休業等終了日の翌日が属する月以後の3ヵ月間の報酬の平均 育児休業等終了日の翌日が属する月から4ヵ月目
産前産後休業終了時改定 産前産後休業を終了した組合員 産前産後休業終了日の翌日が属する月以後の3ヵ月間の報酬の平均 産前産後休業終了日の翌日が属する月から4ヵ月目

(1) 資格取得時決定

組合員の資格を新たに取得したときは、その資格を取得した日の現在の報酬の額により標準報酬月額を決定します。決定された標準報酬月額は、組合員の資格を取得した日からその年の8月(6月1日から12月31日までの間に組合員の資格を取得した者については、翌年の8月)まで適用されます。

(2) 定時決定

組合員が実際に受ける報酬と、既に決定されている標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、毎年7月1日において、現に組合員である者の4月から6月までの3ヵ月間の報酬の平均により、標準報酬月額を決定します。決定された標準報酬月額は原則として、その年の9月から翌年の8月までの適用になります。

ただし、経過措置として、制度開始時の平成27年10月~平成28年8月は、平成27年6月の報酬を基に標準報酬月額が決定されます。

図1 標準報酬月額の決定(定時決定)のイメージ

* 標準報酬等級表はこちら

(3) 随時改定

標準報酬月額は原則として毎年行われる定時決定により決定し、その年の9月から翌年の8月までの1年間適用されますが、昇給・昇格や異動などにより、報酬の額が著しく高低を生じた場合は、実際に受けている報酬と決定されている標準報酬月額との間に隔たりが生じることになります。

このような隔たりを解消するために標準報酬月額を改定します。

具体的には、固定的給与に変動があり、既に決定又は改定されている標準報酬月額の等級と、変動後(3ヵ月間)の報酬で算定した標準報酬月額の等級に2等級以上の差がある場合、変動後4ヵ月目から改定します。

図2 随時改定のイメージ

(4) 育児休業等終了時改定

育児休業等を終了した組合員が育児休業等を終了した日において、その育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合、共済組合に申出をしたときは、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3ヵ月間に受けた報酬の平均額を報酬月額として、標準報酬月額を改定します。職場復帰後の勤務形態が「育児短時間勤務」や「部分休業」等により報酬が低下した場合に行われる改定です。

(5) 産前産後休業終了時改定

産前産後休業を終了した組合員で休業前より報酬が下がった者が、産前産後休業終了日に産前産後休業に係る子を養育する場合に組合に申出をしたときに改定されるものです。

具体的には、産前産後休業終了日の翌日が属する月以後3ヵ月間に受けた報酬の平均額を報酬月額として、標準報酬月額を改定します。

【参考】3歳未満の子を養育している期間の特例

3歳未満の子を養育している組合員の標準報酬月額が、養育期間前の標準報酬月額(従前標準報酬月額)を下回る場合に、共済組合に申出をしたときは、年金額が養育期間前の高い標準報酬月額で計算されます。