第5回公務員共済年金財政単位一元化研究会議事要旨

1 日時

平成15年6月6日(金)午前10時30分~午後12時10分

2 場所

ルポール麹町2階 ルビーの間

3 出席者(敬称略)

座長 西尾 勝 (国際基督教大学教授)
渡辺 俊介 (日本経済新聞社論説委員)
森 繁一 (地方公務員共済組合連合会理事長)
北岡 勝征 (全日本自治団体労働組合中央執行委員長)
寺村 信行 (国家公務員共済組合連合会理事長)
丸山 建藏 (国家公務員労働組合総連合会委員長)
森 清 (総務省自治行政局公務員部長)
杉本 和行 (財務省主計局次長)

4 議事概要

(1) 議題について

本日の研究会は、前回の研究会でとりまとめた(たたき台)の検証結果について事務局から報告の上、質疑等を行い、「国共済と地共済の長期給付に係る財政単位の一元化に関する考え方(案)」を検討することとされた。

(2) 「国共済と地共済の長期給付に係る財政単位の一元化について(たたき台)」の検証結果について

事務局から「年金給付に支障を来さないための財政調整について」の考え方、たたき台等に基づくシミュレーション及び「国共済と地共済の長期給付に係る財政単位の一元化に関する考え方(案)」について説明

(内容)

「たたき台」から変更された点を中心に説明

  • 「考え方(案)」は、年金の給付設計が見直されても基本的には有効であると考えられるが、公的年金制度の見直しの内容によっては改めて検討する必要が生じることもあり得ることに留意する必要がある。
  • 国共済・地共済で同一の保険料率となることの法的な担保措置を講じた上で、財政再計算については、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会相互に情報交換を図りながら、それぞれで行うとともに、その結果についても相互に検証する。
  • 保険料率の一本化は、平成16年から段階的に一本化を実施することとし、平成21年に同一の保険料率とする。
  • 国共済・地共済が組織、制度として独立したままでも、それぞれの制度において今後発生する年金給付に支障を来すことのないようにすることが必要であり、第2の財政調整を行うこととするが、両共済が独立している以上それぞれが有する積立金をいたずらに減少させることは回避することが適当であることから、単年度の収入と支出に着目してこれを行うこととする。
  • 財政調整の方法については、平成16年の次期財政再計算による保険料率の改定時以降、新たな組織を設けずに国家公務員共済組合連合会・地方公務員共済組合連合会の間で、毎年度、費用負担平準化のための財政調整拠出金と年金給付に支障を来さないための財政調整拠出金を一本にして財政調整拠出金を交付し又は受け入れることとする。
  • 財政単位一元化の今後のあり方については、被用者年金制度全体の動向、年金制度改正、今回の仕組みの運用状況などを踏まえつつ、必要に応じて見直しを行うこととする。

これらについて、大要次のような質問、意見が出された。

(←は、事務局からの回答)

1) 積立金をいたずらに減少させることは回避することが適当としているが、積立金の性格についての考え方を整理しておく必要があるのではないか。
← そもそも積立金は、将来の保険料率の著しい増加を防ぐ趣旨から設けられているものであるが、そもそもの積立金の性格については、公的年金制度全体の中で議論されるべきもの。今回の財政単位一元化に当たっては、公的年金制度の中で両共済がそれぞれ一つの公的年金制度として独立して安定的に長期給付を行い得るという信頼感を維持することが必要であり、両共済がそれぞれ有する積立金をいたずらに減少させることを回避することが適当と考えたもの。

2) 保険料率について、国共済と地共済で同一の保険料率となることの法的な担保措置を講ずるとしているが、これまでの保険料率決定の民主的なプロセスとの整合性は確保しうるのか。
← 保険料率については法律で一方的に決めるわけではなく、従前どおり両連合会の定款で規定することを想定している。

3) 「考え方(案)」は、年金の給付設計が見直されても基本的には有効であるとしているが、「年金の給付設計の見直し」とひとことで言っても幅広い見直し内容があり得るところであり、「基本的に有効」と言い切れるか。また、「改めて検討する必要」が生ずるのはどのような場合か。その場合には当研究会における意見交換はなされるのか。
← 「年金の給付設計の見直し」の記述については、記述の修正も含めて再度相談させていただきたい。「改めて検討が必要になる場合」とは、具体的に例示するのは困難だが、端的には「考え方」の記述内容の変更が必要な場合を想定しているものである。当研究会において意見交換していただく必要があると判断した場合には、再度お集まりいただくこともあり得る。

4) 「今後の方向性」の部分で、「被用者年金制度全体の動向」と「年金制度改正」とは内容が重なるのではないか。また、見直しを行う観点として、「公務員制度の状況」も重要なファクターではないか。
← 記述の修正について相談させていただきたい。

5) 今回の一元化に当たって、地共済関係者から大きく3点について申し上げたい。

○国共済・地共済の財政単位の一元化は両共済の信頼関係のもとに行われていくべきであり、今後もこの信頼関係が維持されていくべきものであること

○将来の時点での議論を今の段階で行うこともできないが、今回の制度についてはお互いに助け合うことを旨としているので、いずれ見直さなければならない時期が来ることとなり、おそらく21世紀中葉くらいには見直す必要があるだろうということ

○両共済関係者それぞれに説明責任があるところであり、お互い組合員の理解を得ていく努力が必要であること

座長から、「この「考え方」は、年金の給付設計が見直されても基本的には有効」とする部分及び「今後の方向性」の「見直し」に関する部分については記述を修正することとし、修正内容については座長一任とすること、修正した内容をもって「国共済と地共済の長期給付に係る財政単位の一元化に関する考え方」の確定版(別添参照)とすること、「考え方」の公表等の取扱いについては座長一任とすることについて、出席者の了解を求め、全出席者の了解が得られた。

(3) 公務員共済年金財政単位一元化研究会について

座長から、公務員共済年金財政単位一元化研究会については、今回をもってとりあえずの締めくくりとする旨の発言があり、併せて出席者に対する挨拶があった。

これに対し、総務省を代表して森総務省自治行政局公務員部長より、財務省を代表して杉本財務省主計局次長より謝辞があった。

以上

(別添)

国共済と地共済の長期給付に係る財政単位の一元化に関する考え方

平成15年6月6日

公務員共済年金財政単位一元化研究会

1 背景

公務員の共済年金に関しては、平成13年2月28日の公的年金制度の一元化に関する懇談会報告「公的年金制度の一元化の更なる推進について」を受け、平成13年3月16日に閣議決定された「公的年金制度の一元化の推進について」では、「国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合については、ともに公務員という職域に適用される年金制度であることから、両制度の財政単位の一元化を図る。このため、速やかに具体的な枠組みについて検討を進め、次期財政再計算はこの財政単位の一元化を前提として実施する。」とされている。

当公務員共済年金財政単位一元化研究会では、この懇談会報告及び閣議決定を踏まえ、平成13年10月から国共済と地共済との間の財政調整の仕組み及び国共済と地共済の保険料率の一本化の時期などについて、5回にわたる意見交換を重ねてきた。

これまでの当研究会に出席した関係者の国共済と地共済の長期給付に係る財政単位の一元化に関する意見は以下のとおりである。

2 基本的考え方

ここでいう「財政単位の一元化」とは、複数の年金制度の財政単位を一体のものとして捉え、これを計算の基礎として年金財政を運営していくことであるが、国共済・地共済の間においては、財政単位の拡大及び共通部分についての費用負担の平準化を図ることを目的とし、組織、制度として独立したままで、両制度間で財政調整を行うとともに、最終的に保険料率を一本にすることとする。

その際、国共済・地共済それぞれが年金給付に支障を来すことのない仕組みを作ることは当然であるが、それは、公務員という職域に適用される共済年金制度を全体で支え合う仕組みとすることを基本的な考え方とする。

なお、現在、次期財政再計算に向けて、年金財政方式、給付設計を含む公的年金制度の見直しが検討されており、この「考え方」は、公的年金制度の見直しの内容によっては改めて検討する必要が生じることもあり得ることに留意する必要がある。

3 保険料率の一本化

(1) 一本化保険料率の算定方法

財政単位の一元化という趣旨にかんがみ、財政再計算において、国共済と地共済の給付額及び標準報酬総額をそれぞれ合算し、全体として一本の保険料率を算定する。

一本化保険料率の算定にあたっては、地共済において財源率として含まれている公務上の障害共済年金等については除いて算定する。

なお、両共済で同一の保険料率となることの法的な担保措置を講じた上で、財政再計算については、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会相互に情報交換を図りながら、それぞれで行うとともに、その結果についても相互に検証することとし、保険料率は、従前どおり国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会の定款で規定する。

(2) 保険料率の一本化の時期

公的年金制度の一元化に関する懇談会の議論を踏まえ、保険料率の一本化は速やかに実施することが望ましいが、地共済の保険料率は保険料率の一本化により平成11年財政再計算で見込まれている保険料率よりも将来的な引上げ幅が大きくなると見込まれることから、激変緩和のため、平成16年から段階的に一本化を実施することとし、平成21年に同一の保険料率とする。

4 財政調整の仕組み

(1) 財政調整の範囲

国共済と地共済については、ともに公務員という職域に適用される年金制度であり、給付設計もほぼ同一であることから、財政調整の範囲は、職域部分を含む長期給付全体とする。なお、公費負担で賄われている公務上の障害共済年金等については除くこととする。

(2) 費用負担平準化のための財政調整

成熟の度合いが違うことにより異なってくる国共済と地共済の費用負担を平準化するため、基礎年金部分を除いた指標である独自給付費用に着目して財政調整を行う。

具体的には、独自給付費用率が実質的に同一となるよう、独自給付費用率の低い制度から高い制度に対して費用負担平準化のための財政調整拠出金を交付する。

注:独自給付費用とは、ある年度の実質的な支出のうち、保険料拠出によって賄う部分(国庫・公経済負担を除いたもの)から基礎年金拠出金を控除したものである。したがって、長期給付費用全体からは、追加費用相当額、基礎年金交付金相当額、基礎年金拠出金(このうちの1/3は公経済負担)が除かれている。独自給付費用が当該年度の標準報酬総額に占める割合を独自給付費用率という。

(3) 年金給付に支障を来さないための財政調整

上記(2)の財政調整を行っても、両制度間における積立比率の相違による運用収入の差、被扶養配偶者比率の差等により、収支に赤字が生じ、将来的に積立金が枯渇することはあり得る。

このため、国共済・地共済が組織、制度として独立したままでも、それぞれの制度において今後発生する年金給付に支障を来すことのないようにすることが必要であり、第2の財政調整を行うこととするが、両共済が独立している以上それぞれが有する積立金をいたずらに減少させることは回避することが適当であることから、単年度の収入と支出に着目してこれを行うこととする。

この場合の支出については当該年度の年金給付等費用(基礎年金拠出金等は含むが、費用負担平準化のための財政調整拠出金の交付は含まない。)を対象とし、収入については当該年度のすべての収入(保険料収入、公経済負担、積立金運用収入、追加費用、基礎年金交付金、費用負担平準化のための財政調整拠出金の受け入れ)を対象とする。

なお、保険料率を一本化することにより、仮に年金給付に支障を来さないための財政調整拠出金の交付・受け入れに当面偏りが生じることがあったとしても、将来にわたって公務員全体としての制度の安定化を図るために必要であることに留意すべきである。

(4) 財政調整の方法

平成16年の次期財政再計算による保険料率の改定時以降、新たな組織を設けずに国家公務員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会の間で、毎年度、費用負担平準化のための財政調整拠出金と年金給付に支障を来さないための財政調整拠出金を一本にして財政調整拠出金を交付し又は受け入れることとする。

この場合、財政調整拠出金の額については、各年度毎の独自給付費用率・収支に基づいて算定するものとする。

5 今後の方向性

平成13年3月16日の閣議決定「公的年金制度の一元化の推進について」では、「さらに、被用者年金制度の統一的な枠組みの形成を図るために、厚生年金保険等との財政単位の一元化も含め、更なる財政単位の拡大と費用負担の平準化を図るための方策について、被用者年金制度が成熟化していく21世紀初頭の間に結論が得られるよう検討を急ぐ。」とされている。

また、今回の財政単位一元化における仕組みでは、両共済がお互いに助け合うことを旨としている。

このため、財政単位一元化の今後のあり方については、被用者年金制度全体の動向、公務員制度の状況、今回の仕組みの運用の状況などを踏まえつつ、必要に応じて見直しを行うこととする。