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第2回地方公務員共済年金制度に関する懇談会議事要旨

1 日時

平成15年9月9日(火)午後3時~午後5時

2 場所

ルポール麹町2階 サファイアの間

3 出席者(敬称略、五十音順)

座長 高山 憲之 (一橋大学経済研究所教授)
座長代理 森 繁一 (地方公務員共済組合連合会理事長)
川村 仁弘 (立教大学教授)
君島 一宇 (全日本自治団体労働組合書記長)
木村 陽子 (地方財政審議会委員)
工藤 智規 (公立学校共済組合理事長)
駒村 康平 (東洋大学助教授)
関 昭夫 (警視庁厚生課長)
関口 祐弘 (警察共済組合理事長)
永瀬 伸子 (お茶の水女子大学助教授)
中村 譲 (日本教職員組合書記長)
山﨑 泰彦 (神奈川県立保健福祉大学教授)

4 議事概要

(1)開会

(2)委員異動の紹介

(3)今後の懇談会の開催スケジュール等について

今回の懇談会の検討事項は、社会保障審議会年金部会の意見書、厚生労働省の年金制度改革案が出ていない状況であることから、議論の前提となる基礎的事項について説明した上でフリートーキングを行い、想定される課題についての認識を深めることとされた。

これに伴い、予定していた懇談会の開催回数は4回程度から5回程度に変更することもあることとされた。

(4)公務員共済年金の財政単位一元化について

事務局から「国共済と地共済の長期給付に係る財政単位の一元化に関する考え方」について、基本的考え方、保険料率の一本化、財政調整の仕組み及び今後の方向性についての説明と今後の具体的な取組について説明があった。

また、今回の財政単位の一元化に伴って、地共済内部の財政調整は変更しないこととされたが、前回の懇談会で指摘のあった地共済内部の財政調整の発動要件の見直しの趣旨は、組合員の福祉財源の確保と理解しており、これについては、どのような方策があるかについて更に検討する旨説明があった。

これについて、大要次のような質問、意見が出された。

福祉事業の財源確保については、今後更に検討するということだが、関係者と十分な協議をお願いしたい。

(5)長期給付事業の収支状況について

事務局から地方公務員共済組合の平成13年度の財政状況の概要について説明があった。

これについて、大要次のような質問、意見が出された。
(←はそれに対する事務局の回答)

1) 全体として利息収入が減少しており、苦しいという状況であると理解したが、個々の共済組合についてはもっと厳しい状況もあるのではないか。前回の資料で、指定都市共済組合では既に2、3の赤字があったと思うが、今後の指定都市共済の年金財政について、どう考えているのか。
← 地共済全体では財政一元化がなされており、最終的に給付に支障が生ずることはない仕組みがつくられているが、指定都市職員共済組合については平成10年度から1つの組合が赤字になっており、平成14年度では4団体が赤字の見込みである。今後、指定都市職員共済組合のかなりの部分が赤字になることが予想されることから、問題意識をもっている。今後、支給単位の拡大ということで議論が進むのかとは思うが、そのことも含めて、指定都市職員共済組合の意見も伺いながら、検討していきたい。

(6)市町村の共済組合の長期給付事業の再編成について

全国市町村職員共済組合連合会から「市町村の共済組合の長期給付事業の再編成に関する実施方針」について説明があり、市町村の共済組合の長期給付事業を連合会に集約し、一元化することについて、所要の制度改正がなされるよう総務省に対して要請した旨の説明があった。

これに対する総務省の対応について、事務局から大要次のような説明がなされた。

実施方針中、「今後更に具体的事項について引き続き検討を進める」とされた部分があり、また、総務省としても法制的なバランスも含めて検討する必要があると考えているが、要請の基本的な趣旨については理解しているところであり、年金制度改革、国共済と地共済の財政単位の一元化と併せて、次期通常国会提出予定の地共済法改正案の柱の1つになると考えている。

(7)次期年金制度改革の動向について

事務局から次期年金制度改革に関して、地共済年金と厚生年金との主な相違点、給付と負担の在り方、支え手を増やす方策及び制度の理解を深めるための仕組み等について、坂口厚生労働大臣試案、社会保障審議会年金部会の議論等を踏まえ説明があった。

これについて、大要次のような質問、意見が出された。
(←はそれに対する事務局の回答)

1) 昭和60年以降、地共済の給付の体系は厚生年金に準拠し、保険料は厚生年金と地共済がそれぞれ独自に財源を賄うということできたが、地共済年金で保険料固定方式を導入する場合、職域年金相当部分を含めた保険料で固定し、給付についても厚生年金に並んで調整するとなると、両者のスライド調整期間に差がでてくるのではないか。保険料固定方式を導入する際には、地共済と厚生年金との間で何らかの調整が必要になってくるのではないか。
← 平成16年の次期財政再計算については「公的年金制度の一元化の推進について(平成13年3月16日閣議決定)」により、国共済と地共済の財政単位の一元化を前提とし実施する方向で進めている。厚生年金等との財政単位の一元化も含め、更なる財政単位の拡大と平準化のための方策については、平成13年の閣議決定では被用者年金制度が成熟化していく21世紀初頭の間に結論を急ぐこととされているので、今回のタイミングでは議論の射程外であると理解している。

2) 保険料固定方式の導入により、給付水準が自動調整されることになれば、結果として、社会経済情勢の変化によるリスクが給付側に転嫁されることになり、給付水準の低下につながることから、退職後又は老後の生活を補うための公的年金の役割あるいは意義が変化するのではないか。
また、共済年金には厚生年金にはない職域相当部分が存在するが、保険料固定方式を導入するならば、共済年金の保険料の上限を、負担と給付のどちらで設定するのか、あるいは両方を選択するのかについて議論する必要があるのではないか。この場合、共済年金が公務員制度の一環として制度を堅持する立場から議論する必要があるのではないか。
← これまで、地共済の給付設計は厚生年金に合わせるような形で議論してきており、また、制度設計の基本の部分では国共済に合わせている部分があるため、地共済独自の議論には制約も多いが、知恵を出し、地共済として制度設計できる部分を見極めていきたい。
なお、昨年12月の厚労省のたたき台のスキームを前提としたシミュレーションは次回の懇談会で提出することを予定しており、他方、坂口厚生労働大臣試案に対応したシミュレーションについては、時間的に間に合うような形でできるのか検討させていただきたい。

3) 短時間労働者に対する地共済の適用範囲の拡大についても検討すべき時期に来ているのではないか。同じ地方自治体に勤務する職員の中でも、任用の仕方により地共済の適用が異なるというのは法律上から言えば当たり前になるかもしれないが、地共済の適用範囲をどこまで広げられるのかについて議論する必要があるのではないか。
← 地共済法第2条で地共済法は職員に適用することとされており、その職員としてまず常勤職員が地共済の組合員となり、例外的に非常勤職員でも常勤職員に準ずる者として適用を受けている者がいる。現在のところ、地共済の適用範囲の拡大について具体的な方向性を持っているわけではないが、このような全体のスキームの中での議論になると考えられる。

4) これまで行われてきたシミュレーションは、永久均衡方式により行われてきたということでよいか。
← 永久均衡方式で行っている。有限均衡方式についてはまだ作業を行っていないので、どのような形で示すことが出来るか検討させていただきたい。

5) 公務員の特殊性という言葉だけで共済年金制度、特に職域年金制度がずっと維持できるかについては、かなり難しい問題があると思う。共済年金制度が将来にわたって妥当性を持ち得るための理論的根拠については、公務員制度の骨格・根幹にかかわる問題であることから、今後、今回の年金改革の大体の見通しがついた段階以降、地共済のみならず国共済も含め政府全体として更に議論する必要があるのではないか。

6) 厚生年金が短時間労働者について適用範囲を広げた場合には、地方公共団体に勤務する短時間労働者は厚生年金の適用を受けることとなるため、厚生年金に後追いする形で地共済の適用範囲を広げるということには、直ちに結びつかないのではないか。むしろ、地共済の適用範囲の拡大は、職域年金相当部分をどのように思想的に考え、どの範囲まで適用するのかという問題になるのではないか。

7) 短時間労働者への地共済法の適用拡大に関しては、現行制度の下では将来の負担が増え、財政的にはかえって大変になるのではないか。

8) 短時間労働者への適用拡大した場合の厚生年金における財政効果については、収支がとんとんで、決して財源の担い手が実質的に拡大したことにはならないという試算が出ている。

(8)次回日程について

厚生労働省における年金制度改革の原案の公表状況等を踏まえながら、開催日程を調整することとされた。