老齢厚生年金

1  特別支給の老齢厚生年金

(1) 受給要件

次の要件を全て満たしたとき、65歳まで支給されます。

  1. 60歳以上であること
  2. 1年以上の厚生年金被保険者期間を有すること
  3. 国民年金の老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を、合算した期間が25年以上)であること

* 厚生年金被保険者期間には、平成27年10月以前の地方公務員共済組合員期間も含みます。

* 「25年以上」には、被用者年金制度の加入実績(昭和31年4月1日以前生まれの方)により期間短縮の特例が設けられています。

(2) 失権

  1. 死亡したとき
  2. 65歳に達したとき

(3) 支給開始年齢

特別支給の老齢厚生年金は、次表のように生年月日に応じ、60歳から段階的に引き上げられており、昭和36年4月2日以降に生まれた方は、特別支給の老齢厚生年金は発生しません。

生年月日 支給開始年齢
昭和28年4月2日~昭和30年4月1日 61歳
昭和30年4月2日~昭和32年4月1日 62歳
昭和32年4月2日~昭和34年4月1日 63歳
昭和34年4月2日~昭和36年4月1日 64歳

* 第1号厚生年金被保険者の女子(民間会社等の女子)の特別支給の老齢厚生年金は男子と比べ5年遅れとなっていますが、第2,3,4号厚生年金被保険者である女子(公務員等の女子)の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、被用者年金一元化後も存続し男子と同じ支給開始年齢が適用されます。

* 特定警察職員・特定消防職員の支給開始年齢についても、上記と同様に、特定の階級以下の地方公務員が一般の地方公務員と比較し、支給開始年齢の引き上げが6年遅れとなっており、被用者年金一元化後も存続されます。

(4) 支給の繰上げ

上記(1)の特別支給の老齢厚生年金の受給要件の 2. 及び 3. を満たしている方は、60歳から支給開始年齢に到達するまでの間に繰上げ請求を行い、繰上げ請求を行った翌月分から老齢厚生年金を受給することができます。

ただし、年金額は繰り上げた月数1ヵ月あたり0.5%が減額され、減額は生涯続きます。また、老齢基礎年金、他の実施機関(日本年金機構など)の老齢厚生年金の受給権を有する場合、同時に繰上げ請求する必要があります。(すべて減額支給となります。)

(5) 年金額

特別支給の老齢厚生年金の額は、報酬比例部分(厚生年金相当部分)のみとなります。

また、当該報酬比例部分の額は、原則として、次の式で計算式されます。

* 年金給付額は、1円単位(1円未満四捨五入)で決定されます。被用者年金一元化前は、100円単位でした。
なお、加給年金額及び振替加算については、100円単位のままです。

(報酬比例部分の額計算式)

(平成15年3月31日までの期間)

平均標準報酬月額 × 7.125 / 1,000 × 平成15年3月までの被保険者(組合員)期間の月数

(平成15年4月1日以後の期間)

平均標準報酬額 × 5.481 / 1,000 ×平成15年4月以後の被保険者(組合員)期間

* 上記の式は、総報酬制導入前後に被保険者期間を持っている方を前提としています。

* 「7.125/1,000」の乗率については、生年月日に応じて有利に読み替える経過措置が設けられています。

(6) 二以上の種別の被保険者であった期間を有する方の場合

例えば、第1号厚生年金被保険者と第3号厚生年金被保険者を持つ方の場合は、被保険者の種別ごとの実施機関(日本年金機構と地方公務員共済組合)がそれぞれの加入期間に応じた年金額を決定し、支給もそれぞれの実施機関から行われます。

(7) 障害者・長期加入者の特例

前記(3)支給開始年齢に該当する方々などが、一定の要件(被保険者でないこと、被保険者加入期間が44年以上、一定の障害の状態に該当)を満たしている場合に、特例の適用を請求することができ又は特例が適用され、報酬比例部分の額に加え、定額部分と一定の要件を満たす場合には加給年金額が支給され得ます。

なお、長期加入(被保険者加入期間)を判定するにあたって、二以上の種別の被保険者期間は、合算されません。

(8) 在職老齢年金の支給停止(60歳代前半)

1. 概要

厚生年金に加入している特別支給の老齢厚生年金又は特例による退職共済年金の受給権者については、賃金(総報酬月額相当額)と基本月額(老齢厚生年金など。複数受給している場合はその合算額)の合計額が、一定の基準額を超えると段階的に年金の支給の停止を行うこととなっています(注)

(注)被用者年金一元化前は、特例による退職共済年金の受給者が、厚生年金に加入すると年齢に関係なく、65歳以上の在職老齢年金の仕組み(高在老、基準額が原則、47万円)が適用され、共済組合に加入するときは、同様に年齢に関係なく、65歳未満の在職老齢年金の仕組み(低在老、基準額が原則、28万円)が適用されていましたが、被用者年金一元化により共済年金は厚生年金保険制度に統一され、年齢区分による在職老齢年金の支給停止(65歳未満は低在老、65歳以上は高在老)となりました。
なお、支給停止対象月の数え方(退職した日の属する月までを支給停止の対象月とする)は、被用者年金一元化後も変更はありません。

2. 主な具体例

ア 総報酬月額相当額(標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額)と基本月額(年金額を12で除して得た額。加給年金額がある場合は除く。)の合計額が28万円以下である場合
→ 年金の支給停止はありません。

イの1 基本月額が28万円以下で、かつ総報酬月額相当額が47万円以下である場合
→ 総報酬月額相当額と基本月額の合計額が28万円を上回る分の半分が停止されます。
計算式は次のとおりとなります。

(総報酬月額相当額+基本月額)-28万円×1/2×12=支給停止額(年間)

※ 基準額の基準は、支給停止調整開始額(28万円)、支給停止調整変更額(47万円)といいます。

イの2 イの1の場合で老齢厚生年金と退職共済年金を有しているケース
→ 両方の年金額を合算したうえで全体の支給停止総額を算出し、支給停止総額をそれぞれの年金の額で按分した額を、それぞれの年金の支給停止額とします。

(総報酬月額相当額+合算基本月額【老齢厚生年金+退職共済年金】)-28万円×1/2
×(1期間基本月額÷合算基本月額)×12=按分後の支給停止額(年間)

※ 1期間基本月額とは、老齢厚生年金又は退職共済年金のそれぞれの基本月額、合算基本月額とはそれぞれの基本月額を合算した額のことをいいます。

ウ 上記イ以外に、基本月額と支給停止調整開始額以下であり、かつ、総報酬月額相当額が支給停止調整変更額を超える場合外2つの場合に応じ、支給停止額を算定する式が定められています。

3. 配慮措置

共済年金受給者が厚生年金に加入した場合、被用者年金一元化前ではいわゆる高在老であった方が低在老に変更されるケースがあり、被用者年金一元化により、原則通りに在職支給停止額(低在老)を算出した結果、従前の支給停止額よりも改正後の支給停止額が上回る場合を考慮し、一定の配慮措置が設けられています。主には、平成27年10月1日以前に特例による退職共済年金等を有している方で、かつ、被用者年金一元化の施行日である平成27年10月1日をまたいで民間企業等に在職している方が対象となります。

具体的には、次のいずれの額のうち、最も少ない額が支給停止額となります。

  1. 総報酬月額相当額と基本月額の合計額の1割
  2. 総報酬月額相当額と基本月額の合計額から35万円を控除した額
  3. 原則通りの計算額(低在老)

(9) その他年金額の調整

前記(8)の在職老齢年金の支給停止のほか、特別支給の老齢厚生年金の受給者が雇用保険の給付(基本手当及び高年齢雇用継続給付)を受けることができるときは、所得保障が重複して行われないよう、その全額又は一定額が停止されるなどの調整があります。

2  老齢厚生年金

(1) 受給要件

次の要件を全て満たしたとき、65歳から支給されます。

  1. 65歳以上であること
  2. 1ヵ月以上の厚生年金被保険者期間を有すること
  3. 国民年金の老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を、合算した期間が25年以上)であること

* 厚生年金被保険者期間には、平成27年10月以前の地方公務員共済組合員期間も含みます。

* 「25年以上」には、被用者年金制度の加入実績(昭和31年4月1日以前生まれの方)により期間短縮の特例が設けられています。

(2) 失権

死亡したとき

(3) 年金額

65歳から支給される老齢厚生年金は、原則として以下の年金額の合算した額となります(3. は、個別の要件を満たす必要があります。)。

  1. 報酬比例部分(特別支給による老齢厚生年金の計算式と同じ。)
  2. 経過的加算額(定額部分と厚生年金保険の加入期間に係る老齢基礎年金との差額を支給。)
  3. 加給年金額(受給者要件+加給年金額対象者要件を満たした場合に支給。)

* 経過的加算額における「厚生年金保険の加入期間」には、被用者年金一元化された平成27年10月前の地方公務員共済組合の組合員期間は、そのまま厚生年金保険の被保険者期間とみなされるため、当該加入期間に含みます。

* 被用者年金一元化法施行後に発生する老齢厚生年金に係る加給年金額における期間要件である被保険者期間(20年以上)については、二以上の種別の被保険者期間を有する場合、当該二以上の期間全てを合算(期間合算)して、期間要件を満たしているか判定します。

* 加給年金額には受給権者の生年月日(昭和9年9月2日生~)により「特別加算額」が加算されます。

* 加給年金額は、100円単位で決定されます。

(4) 二以上の種別の被保険者であった期間を有する方の場合

例えば、第1号厚生年金被保険者期間と第3号厚生年金被保険者期間を持つ方の場合は、被保険者の種別ごとの実施機関(日本年金機構と地方公務員共済組合)がそれぞれの加入期間応じた年金額を決定し、支給もそれぞれの実施機関から行われます。

ただし、加給年金額については、加入期間に応じそれぞれの実施機関から支給されるのではなく、二以上の種別の被保険者期間のうち、一の期間に係る被保険者期間を計算の基礎とする老齢厚生年金に加算されます。

どこの実施機関(保険者)から支給される老齢厚生年金に加算されるかは、次のルールによります。

  1. 加給年金額の加算開始が最も早い年金に加算する
  2. 同時の場合は、加入期間が長い年金に加算する
  3. 加入期間の長さも同じ場合、厚年1号・厚年2号・厚年3号・厚年4号の順に加算する

なお、一の期間に基づく特別支給の老齢厚生年金に加給年金額が加算されている場合には、65歳到達による本来支給の老齢厚生年金への裁定替え後も、引き続き、当該一の期間に基づく老齢厚生年金に加算が行われます。

(5) 支給の繰上げ

昭和36年4月2日以後に生まれた方が、60歳到達後老齢厚生年金の受給要件 2. 及び 3. を満たしている場合は、65歳に到達する前に繰上げ支給の老齢厚生年金を受給することができます。

ただし、年金額は繰り上げた月数1ヵ月あたり0.5%が減額され、減額は生涯続きます。また、老齢基礎年金、他の実施機関(日本年金機構など)の老齢厚生年金の受給権を有する場合、同時に繰上げ請求する必要があります。(すべて減額支給となります。)

(6) 支給の繰下げ

受給権を取得した日(65歳到達時点)から起算して1年を経過した日前に老齢厚生年金の請求をしていなかった方は、66歳以降に老齢厚生年金の繰下げを申し出ることにより、申し出た月の翌月分から繰り下げた月数1カ月あたり0.7%を増額した年金を受けることができます。

また、次のような留意点があります。

  • 繰下げの申し出は、66歳の誕生日以降70歳に到達するまで行うことができます(70歳到達以降、繰下げの申し出をしたときは、70歳到達経過日に支給繰下げの申し出があったとみなされます。)
  • 他の実施機関の老齢厚生年金を受給できる場合は、同時に繰り下げる必要があります。
  • 老齢基礎年金とは、同時に繰り下げる必要はありません。
  • 障害を事由とする年金(障害基礎年金を除きます。)又は遺族を事由とする年金の受給権を有する場合方は、繰下げの申し出ができません。

(7) 在職老齢年金の支給停止(60歳代後半)

60歳代後半における老齢厚生年金の在職老齢年金の支給停止は、60歳代前半における在職老齢年金の支給停止と同じで、賃金(総報酬月額相当額)と基本月額(老齢厚生年金など。複数受給している場合はその合算額)の合計額が、一定の基準額を超えると年金の支給の停止を行うこととなっています。具体的には、次の式による額が支給停止されます。

(総報酬月額相当額+基本月額)-47万円(支給停止調整額)×1/2×12=支給停止額(年間)

また、60歳代前半と同様に、被用者年金一元化の施行日である平成27年10月1日をまたいで在職している方を対象とした配慮措置が設けられており、具体的には、次の2つを比べ、少ない額に12を乗じて得た額が支給停止額となります。

  1. 総報酬月額相当額と基本月額の合計額の1割
  2. 原則通りの計算額(高在老)